【天体の工学】エポス「ユングフラウ 3391ABL」レビュー。12万円台で手にする、スイス三連峰の静寂。(多分今は無理・・・)

メンズ10万円~30万円

時計選びにおいて「複雑さ」と「美しさ」の両立は、永遠のテーマです。特に、複数のカレンダーと月の満ち欠けを同時に表示する「トリプルカレンダー・ムーンフェイズ」は、通常であれば目が飛び出るような価格設定になりがちです。

しかし、エポスはこの難題に対し、圧倒的なコストパフォーマンスと独自のアートセンスで答えを出しました。


1. 既成概念を崩す、アシンメトリーの配置美

この「3391ABL」を初めて見たとき、多くの人がその独特なレイアウトに目を奪われるはずです。

  • 11時位置の月: 一見、日付表示かと思いきや、実はここに「ムーンフェイズ」が鎮座しています。

  • 散りばめられたカレンダー: 4時位置に「曜日」、8時位置に「月」。そして文字盤外周を這うように進む「ポインターデイト」。

一般的な時計が「12時・6時」といった垂直軸に機能を並べるのに対し、エポスはあえてこれらを散らしました。まるで夜空にランダムに浮かぶ星々のように。この「計算された崩し」こそ、技術屋の遊び心を感じさせるポイントです。


2. 盤上に刻まれた、スイス三名峰の標高

モデル名「ユングフラウ」が示す通り、文字盤の下部にはスイス・アルプスを象徴する山脈が描かれています。

「この山、どこかの適当な山じゃないの?」

いえ、これには明確なモデルがあります。スイスが誇る三連峰、ユングフラウ(4,158m)アイガー(3,970m)、メンヒ(4,107m)です。

かつてバラエティ番組の登山企画で注目を集めたアイガーを含む、これら名峰の上に広がる満天の星空。時計を眺めるたびに、標高4,000m級の冷徹で澄んだ空気が手首に伝わってくるような、情景豊かなデザインです。


3. 「ナイトスカイ」との贅沢な比較

エポスの名作といえば、文字盤全面に星が輝く「ナイトスカイ」が有名ですが、この「ユングフラウ」はその系譜を継ぐ第2弾とも呼べる存在です。

全面が星空のナイトスカイに対し、ユングフラウは「山脈と空」という遠近感のある構図。

どちらが上かという議論は無粋でしょう。できることなら両方を手に入れ、その日の気分でスイスの夜空を使い分ける……そんな贅沢な使い方が、この時計のロマンにはふさわしいのかもしれません。


4. 価格という名のサプライズ

自動巻きで、これだけの複雑機能を盛り込み、さらに細部まで作り込まれた芸術的な文字盤。

「倍の価格でもおかしくない」と感じさせる内容ですが、その実力は驚くべきバリューに裏打ちされています。

参考楽天市場価格:約120,186円(+税)

※記事紹介時(2020年)の市場価格に基づきます。。

この価格帯で、サファイアクリスタルやバックスケルトン、そしてエポス独自のモディファイが施されたムーブメントを堪能できるのは、独立系ブランドならではの強みと言えます。


製品スペック詳細

項目 内容
型番 3391ABL
ムーブメント 自動巻き(ETA 2892ベース・エポス改良)
機能 トリプルカレンダー、ポインターデイト、ムーンフェイズ
ケース素材 ステンレススチール
風防 サファイアクリスタル
ケース径 41mm
その他 シースルーバック(裏スケ)

結論:手首に宿す、スイスの夜想曲

エポス「ユングフラウ 3391ABL」は、多機能でありながら決して煩雑ではなく、むしろ一つの風景画のような静寂を纏っています。

投資効率や資産価値といった冷徹な指標も大切ですが、時にはこうした「物語」を身に着ける喜びも、時計趣味の醍醐味です。街を歩きながら、ふとした瞬間に手首の「アルプス」を眺める。そんなゆとりある時間を、この一本と共に過ごしてみてはいかがでしょうか。

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